コロナ禍で働く外科医の雑感
現在世界中で新型コロナウイルスの観戦で未曾有の事態となっている。
5月に入り国内の感染者数は減少傾向にあるが、まだ予断を許さない状況である。
かく言う私もそれなりに大きな病院で勤務しているのだが、整形外科というマイナー外科に属しているため、直接コロナ患者に関わる機会は少ない。
コロナ禍で1ヶ月近く働いて私の仕事内容にも変化が起きた。
1、外来患者が減った
特に緊急事態宣言以降で如実に患者が減った。
手術後の定期フォローや、数ヶ月に1回薬をもらうような患者は診察を延期することが多い。
何より新規患者があからさまに減った。
これにより我々の仕事は減った。
2、外傷が減った
こちらも外出自粛に伴い運動をしたり、出歩く高齢者が減ったことにより、骨折の患者が劇的に減った。
医療的にはいいことかもしれないが、我々の仕事は減った。
3、手術が減った
これは外傷が減ったことも理由の一つではあるが、慢性期疾患の手術を予定していた患者が延期を希望したり、コロナが落ち着いてから手術を考えたいという人が増えた。
これにより我々の仕事は減った。
4、外勤(アルバイト)が減った
我々は病院からの収入では生活が難しいため、アルバイトをしながら生活している。
当直をしたり、外来をしたりして、時には週末を利用して日銭を稼いでいる。
地方に赴く種類のものもあるので、感染拡大を懸念や、患者の減少によりバイトを雇う必要がなくなったなどの理由で中止となっている。
病院によっては定期のアルバイトが中止になっているようだが、幸い私の病院では週末のアルバイトが減った程度ですんでいる。ただ、月の収入は確実に減った。
5、暇になった
1から4までの事象の影響で仕事に充てる時間が確実に減った。
科の特性上緊急手術が多いため、時には夜遅くまで手術なんてこともあるのだが、コロナの影響で手術、外傷患者が減り、それに伴い入院患者も減り、定時には仕事が終わることが多くなった。
余暇も増え、自分のために充てる時間が増えた。
ニュースでは医療関係者に感謝をなどと叫ばれているが、そんなニュースを見ると仕事がなくなり定時で上がっている自分が少し申し訳なくなる。
かといって、マイナー外科の自分がICUでコロナ患者を見れる訳ではないし、ECMOを使いこなせる訳ではない。
自分はできる範囲でやれることをやるだけだ。
幸い雇われの身かつ、仕事を失うような職業ではないので、収益やら今後の仕事についての不安がないことはありがたい話だ。
新型コロナウイルスで、外出もできなくなり今までと異なる日常が続いているが、悪いことばかりでもない。
自分の時間が増えて色々と将来について考える時間が増えた。
5年後、10年後何がしたいかについて考えながらそれに向けて行動をし始めた。
読書習慣がない私が毎日本を読んだり、大学生の時以来見なかったアニメを見始めたりと、それなりに有意義に過ごせている。
こんな日常が続くことはあってはならないが、この日常が終わった後も環境に応じて自分に必要なこと、楽しいことをしていけるようにしていきたい。
気軽に外食をしたり、ライブにいったりできる日常が戻ってきて欲しい。